鈴本ヤンデレ研究所

ヤンデレ童話とかレビューとか

俳優養成所の闇【私はこれで養成所を辞めた】

当ブログは漫画好き・アニメ好きの方向けに書かれています。
そういった方で俳優、特に声優を目指している方は多いのではないでしょうか?
俳優養成所に通って演技の基礎を身につけて……なんて思っておられるかもしれません。

やめましょう。
俳優や声優になりたいのであれば手っ取り早く大きなオーディションでも受けましょう。

私はとある有名俳優養成所に通っておりました。何も関係ないけどお花が綺麗だね。ええ何も関係ありませんよ。
さて、その俳優養成所の闇を赤裸々に暴露したいと思います。


授業料の高さ

まあこんなのは序の口です。ぶっちゃけよく言われてることですよね。
私の場合は途中体調不良で休団したことがあるのですが、休団ですら半年間に8万円もかかりました。
授業料は幸いにも親が出してくれていたので正確にはわかりませんが……ザザっと調べたところ年に40万円ほど。
声優専門学校に比べたら全然安いと思われるかもしれませんが、週一でこれですからね。
あと私が年40万円の価値をその俳優養成所に見出していません。


講師陣の性格の悪さ

これですよ、本題は。
さあ赤裸々に語っていきましょうね〜。

私が出会った酷い講師陣はこちら!



①「君たちはダメダメ」上から目線女
職場にいたら絶対に嫌われるタイプ。

これは私が中学生の頃の話です。
いつものように「あめんぼあかいな」の発声練習をしていたわけですが、終わったところで講師が急に口を開く。
「君たちね〜『な行』は『んな』って粘りをもたせて、『か行』は『かっ』ってはっきり言って……そんなことも出来ないから君たちはダメダメなんじゃないの?」

……は?

ええと……ご指摘ありがとうございます。
それであの……私たちってダメダメだったんですか?

愛のムチ、と思われる方もいると思います。
しかし中学生という多感な時期の少年少女にかけるべき言葉ではないと強く思います。
しかもそれまでは特に君たちはダメダメって言われたことないですからね。
虫の居所が悪く気分で言ったんだと思います。
更年期にでも入ってたんですかね。



②ウケれば何でもOK、差別女
いかにも大阪人といった感じですね。悪い方の。

これは私が高校生の頃でした。
養成所内では「明るくて馬鹿みたいに面白い先生」と評判だった当講師。
私は元々引っ込み思案な性格で、でも自分なりにレッスンを頑張ってきました。
ある日普通にレッスンを受けていた時のこと。
なんでだったかは忘れましたが、唐突にその話題は訪れました。

差別女「鈴本さんってオタクじゃないん?どうなん?もし違うんだったら今までオタクとしていじってきてごめんね。

あの……レッスン関係あります?
っていうかオタクだったらいじっていいんですか?

いやまあ確かにオタクですよ?でもオタクというだけで人を差別し笑いのネタにする……講師以前に人間としてあるまじき行為かと。

更にこの女のエピソードはあります。
「同じものが好きな仲間を見つけるグループを素早く作る」というレッスンをしていた時のことです。
『友達』という答えの人が多い中、私は当時(は)大好きだった人がいたので、『恋人』を選び一人で座っていました。
するとその女、

差別女「将来悪い男に引っかかるタイプやなwww

えっと……好きな人を一番に思って何が悪いんですか?
もしかしてご自身が彼氏いないことへのひがみ?

だとしたら情けないことこの上ないですね。
更年期にでも入ってたんですかね。



③褒めるのはお気に入りの子だけ、贔屓女
この女に自尊心をズタズタにされます。

私が大学生の頃でした。
昔は更に厳しかったという当講師、今はやや丸くなってるらしいので安心していました。

しかしレッスンを始めてみると、なーんか一部の子にだけ笑顔が多い
『素直な演技』(?)に重きを置いていたのか知りませんが、正直私からしたら大したことない棒読み演技をしている人でもけなさない。むしろ褒めることもしばしば。

そして私のことは一切褒めない
けなしてばかり

いやいいんですよ……私に実力が足りなかっただけで……講師の方は悪くない……才能もないダメ人間……
そんな風に思わせることにかけてはプロ

確かに当時は体調が劇的に悪く正直レッスンどころじゃない面もありました。
が、仮にも演劇の講師なら平等に愛を注ぐ演技でもしたらどうですか?

しかも言葉ではっきり「下手」と言われるわけではない、ちくちくと心を抉っていくような言い回し。
まるで「君明日から来なくていいから」と毎日言われているような気分でした。

あまりのショックに休団し、つい最近その俳優養成所を辞めてしまいました。
一つ一つの言葉をメモしていなかった自分が憎い……。


オーディションなどのチャンスのなさ

本題は『講師陣の性格の悪さ』で終わったわけですけど、ちゃんとこういうのも話しておくべきだと思ったので。
普通クラスに所属していたらドラマや舞台のオーディションの話も舞い込んできそうなものじゃないですか。
講師陣からのスカウトは全くなし

あるとしたら俳優養成所が主催している舞台へのオーディション権が皆に用意されているぐらいですね。
大きな煌びやかなオーディションは見たことがありません。ええ。
あってもドラマのエキストラ止まり。有名俳優養成所の名が泣きますよ。


外部オーディション参加への不都合さ

これで最後です。

中にチャンスがないなら外からチャンスを作ればいいじゃない!
ということで、オーディションの機会を狙っていました。
すると折り良く、私の大好きなゲーム作品ダンガンロンパ舞台版の『超高校級のアイドル 舞園さやか』ちゃんの公募が行われていたではありませんか!
絶対に応募したい!……そんな気持ちを胸に応募要項を読み進めていきます。

・他のプロダクションなどに所属していないこと

……ん?

嫌な予感がした私は、その俳優養成所の受付窓口へと行きました。
オーディションを受けられるのか単刀直入にきいたところ、
「当養成所に所属しているためこのオーディションは受けられません」
とのこと。

あっそう。そうですか。
じゃあ辞めてやる!今後こんなチャンスが来ても泣き寝入りしないといけなくて、授業料も親に負担をかけて、講師陣も私を傷つけるばかりだったら居る意味なんてない!



以上が事の顛末です。

この記事を書こうと思ったきっかけは、『声優養成所の闇を暴露』というようなYouTubeの動画を見かけたことです。
そこでは『授業料が高い』『最初からマイクは持たせてもらえない』などの演劇経験が少しでもある人なら想像がつくであろう内容と『声優業界かっこいい』『声優よりYouTuberとしての才能を認められたのでYouTuberに転向しました!』といった声優業界ageと闇の全く関係ない転向話がつらつらと。

養成所の闇はこんなもんじゃない!
誰も書かないなら私が書いてやる!

と思ったのが筆をとったきっかけです。

あとは『声優専門学校』や『声優養成所』の闇は多く書かれているのに『俳優養成所』の闇は見たことがないなと思い、記事を書いたというのもあります。



もちろん良い講師の方もいました。
悪いことばかりではありませんでした。

ですが6年近く通い続けて身になったこと……あったかな?程度のレベルでした。
そして私は演技が下手なんだ。ダメ人間なんだ。という劣等感だけが植え付けられました。

もし俳優や声優の養成所に通いたい人がいるなら、まともなところを見つけてほしいなぁと思います。
月謝も安くはないので、少しでも「おかしい」と思ったら早々に見切りをつけてほしいです

最後までご覧いただき誠にありがとうございました!

ハッピーシュガーライフ(1)【ヤンデレビュー】


ハッピーシュガーライフ(1) (ガンガンコミックスJOKER)

ハッピーシュガーライフ(1) (ガンガンコミックスJOKER)

 

 

全体的な評価としては高い部類に入る作品でした。
質の悪いラノベや流行りそうな要素を詰め込んだだけの漫画のように表紙だけ良くて中身がペラペラということもなく、きちんとストーリーのある漫画だと言えます。
生粋のヤンデレクラスタだけでなく、ヤンデレに耐性のある幅広い層にお勧めできる良作です。これを機にヤンデレクラスタが増えたらいいなぁ。

 

さて、いつものように目的もなく本屋をブラブラしていたある日。平積みになっている本=売れ筋の作品ということで平積みの漫画の表紙を物色していると、未来日記の我妻由乃似の狂気的な美少女がこちらを見ているではありませんか。
すぐさま手に取りあらすじを確認。裏表紙の内容とは少し違いますが、大体はこんな感じでした。

松坂さとうには、好きな人がいます。
その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。
きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。
この想いを守るためなら、どんなことも許される。
騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。
『カミヨメ』『TARI TARI』の鍵空とみやきが描く、戦慄の純愛サイコホラー。

ガンガンジョーカー公式サイトより引用。http://www.jp.square-enix.com/magazine/joker/series/happysugarlife/

戦慄の純愛サイコホラー……!?ヤンデレクラスタにとって至高の響き。即購入を決めました。


 許されない恋、心から愛する人を監禁する。そのために邪魔な人間を処理。自らの手はいくらでも汚す。


こういう話が大好きなもので、『愛を守るためならどんなことでも許される』というフレーズに心惹かれました。帯で『賭ケグルイ』の作者である河本ほむら氏・尚村透氏が推薦していたのも大きかったですね。

 

さて、第1巻の中身はこんな感じでした。

 主人公の松坂さとうは、成績優秀で性格も優しいと評判の美少女です。高校生のさとうは、最近家に帰るのが楽しみで仕方ありません。何故なら、神戸しおというこれまた可愛らしいロリ……少女がお出迎えしてくれるからです。
 実はしおちゃんは、さとうが誘拐・軟禁している子供なのでした。さとうは愛してやまない彼女と二人暮らし中。純粋無垢なしおちゃんは、優しくて何でもできるさとうに懐いています。
 ちなみに今二人が暮らしているお家はある人間をさとうが殺して手に入れたものなのですが、そんなことは些末な事情。
 さとうは今の幸せな甘い生活を壊さないために、バイトや証拠隠滅に精を出すのでした。

 

良い点①:タイトルやモノローグのセンスが良い


ハッピーシュガーライフ』というタイトルは、さとうとしおちゃんの幸せで甘々な生活を表しています。ですがその実態は、独善的な理由で幼女を誘拐し、罪無き人を殺すことで手に入れた歪んだ幸せです。それでもさとうは、自らの胸に生まれた甘い想いこそ至高の幸せだと信じ、今の生活を守るためなら文字通り「どんなことでも」しようと決意しています。第1巻でも、主に2人ほどの大人を相手に上手く立ち回り、ハッピーシュガーライフを守ることに成功しています。
甘いだけではない、歪んだ幸せーーそんな意味が込められているように感じます。世間で言う幸せとは程遠いヤンデレ作品にあえてのこのタイトル。秀逸です。
また先ほど引用したあらすじのような、ポエム的なモノローグが随所に入ります。可愛らしい絵柄も相まって、まるで絵本を読んでいるかのような気分になります。ストーリーより雰囲気で漫画を読むタイプの人にも気に入ってもらえる要素があると言えます。

 

良い点②:さとうがテンプレ可愛い


ヤンデレ作品において大抵のヤンデレは優等生かつ美少女なので、テンプレートを遵守している点は高評価です。
また愛する人と一緒に暮らすためなら犯罪も厭わないその姿勢が非常にヤンデレらしくて読者(ヤンデレクラスタ)の心を掴みます。
あと元ビッt……誰とでも寝るような子だったという設定が個人的にツボです

 

良い点③:しおちゃんも非テンプレながら可愛い


ヤンデレのお相手は冴えない平凡な男子と相場が決まっています。しかしさとうはそんじょそこらのヤンデレとは違い、きちんと見る目があるようですね。純粋無垢で聞き分けのいい幼女を愛しています。
この点において、ヤンデレに耐性のある百合好きやロリコンの皆様にも推せる作品ですね。もちろん「推しのヤンデレちゃんは可愛いのになんでそんな男がいいんだ!!私の方が幸せにできるのに!!」と毎度血の涙を流している貴方にもお勧めです。

 

良い点④:美麗な絵柄


表紙買いしたものの中の絵が微妙ということもなく、一つ一つのコマが丁寧に可愛らしく描かれている点が良かったです。何よりキャラクターの病んだ表情が堪りませんね。ゾクゾクします。

 

以上の文章からお分かりいただけるかと思いますが、普通に良作です。1巻の時点では劇的な展開があるわけではありませんが、キャラクターも可愛いしストーリーもちゃんとしています。さとうの心情にも共感できる部分がいくつかあり、非倫理的な行動をしている主人公も心ある人間としてきちんと描かれています。

 

ですが、物足りない……どうにも物足りないんです!!
もっとさとうは病んでていいし、他のキャラクターも魅力的であるべきだと思うんです!!

 

……展開に物足りなさを感じるのは、この漫画が少年誌に掲載されているということが大きそうです。一般的に少女の方が少年よりも鬱展開に耐性があると言われており、実際に少女漫画ってえげつない展開のものが多いです。少年誌の王者と言える週刊少年ジャンプの理念が『友情・努力・勝利』であるのに対し、少女漫画はエログロイジメ泥沼の三角関係と何でもあり。下ネタだって下手したら少年漫画のそれよりひどいです。
以上からもわかるように、男性……特に少年は、ただただ胸が苦しくなり鬱々しい気分になるような暗いストーリーは避ける傾向にあります。よってハッピーシュガーライフも、暗い題材を扱っていながら気分はそれほど落ち込まないようなものにする必要があるのだと思います。
特にガンガンは、血なまぐさいバトルシーンや若干のお色気シーンはあるものの、大抵の作品が非常に健全なものです。それが、私含めヤンデレクラスタには物足りないのかもしれません。
少なくともヤンデレを描くための作品ではないと感じました。


どちらかというと、ちょっと狂った可愛い女の子&異常な両想いシチュエーションを雰囲気で手軽に楽しむ作品って感じです。ヤンデロイドタグ付きのボカロ曲で言えば『ロッテンガールグロテスクロマンス』というよりは『狐ノ嫁入リ』寄りの作品ですね。前者はヤンデレこそ至高!!な視聴者に刺さるのに対し、後者は鏡音リンクラスタや和風曲好きにも広く愛される楽曲です。

ロッテンガールグロテスクロマンス

狐ノ嫁入リ

 

クズの本懐(1)【レビュー】

 

 

 ※辛口コメントです。この作品が好きな方はご注意ください。

ヤンデレ作品ではありません

 

 

 

今回紹介する『クズの本懐』。ネットの広告やアニメ化などでよく耳にするタイトルということで、少し気になっていました。
ネット版1話を立ち読みして良さげだったのと、本屋であらすじを見て好みだったので購入。内容はこんな感じです。

安楽岡花火と粟屋麦は、学校の誰もが羨む評判の高校生カップル。 一緒に下校して、テストの点数を教え合い、他愛のない会話をし、物陰に隠れてキスをする。そんな甘酸っぱいカップルの日常を過ごす二人には、誰にも言えない秘密があった――。
恋ってそんなに美しいものですか…? 新鋭が描く、エロティック純愛ストーリー。

ビッグガンガン公式サイトより引用。http://www.jp.square-enix.com/magazine/biggangan/introduction/kuzu/)←このサイトで立ち読み1話が無料で読めます。

 

ふむふむ。切ない恋愛ものなのかな?と思いきや、カップルの『秘密』の内容がぶっ飛んでます。第1話で判明するので言っちゃいますが、花火(♀)も麦(♂)も互いのことなんか毛ほども好きじゃありません。周囲から羨まれる美男美女カップルを演じているだけ。
では何故付き合っているのか。それは、それぞれ別に片想いしている人がいて、相手をその人に重ねて手を繋いだりキスしたりするためです。本編からの引用ですが『互いが互いのかけがえのある恋人』なのですね。
ちなみに花火は近所に住んでいる国語教師(『お兄ちゃん』)に、麦は元家庭教師である音楽教師に片想いしている上、国語教師は音楽教師のことが好きです。彼らの恋が叶う見込みはほとんどありません。

……どうですか、この設定。
めちゃくちゃいいと思いませんか!?切なすぎる!

 

ヒロインである花火のモノローグに、
報われない恋 切ない恋 片想い それってそんなに美しい物ですか 私はそうは思わない
人を好きな気持ちなんて もっと切実でぐちゃぐちゃで 諦めようとしても諦めきれない そういうものだよ
というものがあります。

多くの恋愛漫画がそうであるように、物語における片想いは美しいものとして描かれることがほとんどです。しかし現実の片想いは大抵苦しい。相手の挙動に一喜一憂し、期待しては裏切られての繰り返しです。
片想い中の友人×3(演劇部の衣装担当)も『あたしはゆうれい』のサビを聴きながら「(私なんて)馬鹿です〜!!」と涙ながらにミシンを動かしておりました。

あたしはゆうれい あなたはしらない
涙の理由も その色さえも
それでもきっと 変わらずにずっと
あなたが好きよ 馬鹿みたいね

(『あたしはゆうれい』By米津玄師 http://sp.uta-net.com/search/kashi.php?TID=195154

叶わない想いを募らせている多くの方は、花火のモノローグに共感できるのではないでしょうか。そして、代わりの人間でもいいから寂しさを満たしたいという思いも。
花火と麦は容姿端麗・成績優秀で学校でも人気者ですが、彼らはけして幸せな人間ではないのです。こうした設定が、物語によりリアリティを与えています。

 

では、お待ちかねの本編といきましょう。これだけ素晴らしい設定が散りばめられているのですから、多彩な展開が期待できるはず。
 友人に花火達の関係がバレてしまうのかな?それが片想いの相手にも知られて気まずくなってしまうのかも。
 それとも花火が、ふとした瞬間に麦では先生の代わりにはならないと実感して、苦悩するのかな?付き合い続けても別れても悲しい未来しか見えません。
 もしくは途中で花火を好きになった麦に告白されて罪悪感を抱くのかな?いやいや、むしろ花火が麦に恋することになるのかもしれないですね。

特殊な設定の登場人物が主役になるタイプの物語では、その設定ならではの心情やストーリー展開が期待できますよね。実際私もそうでした。好きな人の代わりに好きでもない人間と付き合うということがどんなことなのか……切ないのか、心地よいのか、虚しいのか。そんなことを考えながら読み進めていました。

 

さて、肝心のストーリーはというと……何も起きません。
本当に、何も、起きないのです。
驚くほど事態が進展しません。少なくとも1巻時点では。
強いていうなら、花火のことを恋愛的な意味で好きな友人(♀)と、麦のことを好きな彼の幼なじみ(♀)が登場しただけです。あとは、なんで花火と麦がこの関係を始めたかっていう経緯が回想シーンと花火のモノローグを交えて紹介されて終わります。
……え、もう終わり?『互いが互いのかけがえのある恋人ですよ』っていうあらすじを超えるものがあったっけ?
これが正直な感想です。
読後に残るものが何一つありませんでした。
これなら設定だけ読んで自分で適当に展開を妄想する方がマシだとすら思いました。
帯以上のものはありません。本当に。

 

①面白い設定に対してストーリーが薄い。


これが普通のちょっと切ない恋愛漫画だったらまだ良かったのでしょうが、いかんせん設定が特殊かつ個人的に好みだったので、ストーリーへの期待値が高かったのがガッカリした原因の一つだと思います。
ノローグで花火の心情が描かれていることは描かれているのですが、描写不足感も否めません。回想シーンの花火は気まぐれとはいえ友人の麦にふざけて抱きついて寂しいと呟くし麦も花火を押し倒して「『お兄ちゃん』だと思ってみれば?」って自ら身代わりになることを申し出るし(花火曰く、多分その時互いが同じことを考えていた、だそうです)、花火は麦のことが好きな幼なじみ(♀)の胸ぐらを掴んで「人のモノにあんまり無許可でひっつかないでね」って言い放つし(花火曰く、独占欲ではなく『所有欲』だそうです)。
結局こいつらは何がしたいの?と何度も思いました。互いのことは好きでも何でもないんじゃなかったのかと。もう互いのこと好きになっちゃえば解決じゃないかとさえ思いました。片想いの相手に対する気持ちがとても本気とは思えません。

 

②キャラクターに共感できない。


花火の性格が悪い意味でクズで、麦のキャラは薄くて空気。キャラクターの心情が命となってくる恋愛ものにおいて、主人公達に愛着を持てない・共感できないというのはかなり痛いと思います。
花火については、男子からの告白の返事を一週間も待たせておいて(なんで私すぐに振らなかったんだろう、面倒くさいなぁ)と思いながら「ごめんなさい」と笑顔で一蹴。それだけならまだいいのですが、「一週間も待ったのに……期待するじゃん……」と泣きそうな相手を前にして、
興味のない人から向けられる好意ほど気持ちの悪いものってないでしょう?
と無表情で言い放つ。いや思っても言う必要ある?
言葉は悪いですが、冷たくてクズな自分に酔っているとしか思えませんでした。本気なのであれば、彼女に人のしての良心はないのだと思います。
普通の人間であればそもそも告白されて待たせていることを忘れるなんて有り得ませんし、忘れてたとしても一週間も待たせたことへの申し訳なさだってあるはずです。なのにまるで自分が正しいとでも言うかのような逆ギレ発言。しかも悪役ではなく、読者に共感されるべき主人公の発言です。


更に、花火のことが好きな男子がその様子を見ていたのですが、彼の友人に「心優しいなぁ安楽岡さん……未練の残らないようあえてハッキリと……さすが俺のミューズ……♡」「フラれるのは嫌だけど俺もあの蔑んだ目で見下されたい……」と恍惚の表情で言っています。さすがにこれには友人からのツッコミが入りましたが、作中で誰も花火の行為を明確に悪であると指摘していない、むしろ正当であるかのように描写されている点に違和感しかないです。
倫理的に悪であることを、物語の中で否定されていない。主人公マンセーとでも言うべき展開に呆れました。

タイトルの「クズ」というのはあくまで、悪いことだとわかっているけど割り切れない身代わり恋愛行為についての言及だからこそ「クズだなぁ」と言いながらも愛せるわけであって、本物のクズなんて誰も好きになりません。こんな人間の恋なんて叶おうが叶うまいがどーでもいいし、むしろ叶うわけないよねって思います。

そもそも他人の恋愛感情を否定してコケにしておいて「お兄ちゃんへのけして叶わない恋……辛い……」なんて言ってても同情できません。そりゃ『お兄ちゃん』だってあなたみたいな性格悪い人選ばないよね、賢明な判断だよとしか。


そして読んでいる限り、モテモテの花火は告白されても毎回バッサリ振っているようなのですが、こんな振り方をしている人間が未だモテモテでかつ誰もが羨むカップルの女側というのがどう考えても納得できません。美人だからこそすぐに「顔だけの女、性格は最悪。麦は見る目がない」なんて噂が立ってもおかしくなさそうなのですが……この辺りの設定に無理があるように感じます。
花火を好きな友人(♀)や麦を好きで花火をライバル視する幼なじみ(♀)の存在も、花火がいかに価値ある少女かということを表すための道具にしか見えません。彼女達に人間としての魅力は特に感じませんでした。麦は優柔不断でよくわからない男という印象しかないです。

 


2巻以降は読んでいないので展開はわかりませんが、恐らく買わないと思います。
もっと花火が良い子で麦もかっこよくて彼らの心情に共感できる場面があって、かつ花火の異常な持ち上げがなければ、続きを買う気になっていたかもしれません。
何度でも言いますが、あらすじの内容はめちゃくちゃ好みでした。ですが、それ以上のものはありません。

 

 

 

支配されたい。自称S以外に。

f:id:arkyork:20160901021657j:plain


こういうシチュエーションよくないですか!? 共感してくれる方はいらっしゃいませんか!?

そんな気持ちで書いてみました。




ではさっそく。
少し変わった趣味を私は持っていて、細かいんですが心から尊敬できる男性(女性)に弱みを握られ、それをネタに脅され、支配されるシチュエーションにドキドキします。きゃー。



ただし相手は「心から尊敬できる男性」限定です。

勘違い自称ドS男とはヤンデレと刃物振り回し基地外女ほどの隔たりがあります。誤解のなきよう。





さて今回は、心から(ryと自称(ryの違いがいまいちわからない方のために、こんなシチュエーションで考えてみます。


リアルであなたを知っている先輩に、自身が運営しているブログの管理人(もしくはツイッターアカウントなど)の正体を知られてしまう。

あなたを呼び出し「これって○○だよね?」と訊く先輩。青ざめるあなた。「ヤンデレとか好きなんだ。しかもこんな趣味まで暴露してるし。意外だな」などと追い打ちをかけられ、黙って俯くことしかできない。



さてこの後の展開、勘違い自称ドS男が相手の場合はこうなります。


自称「これ、同じサークルの人にバレたら○○どうなるんだろうね? きっと変態って罵られて、友達からも避けられることになるだろうな〜」

女「そ、そんな……困ります」

自称「(ニヤニヤ)黙っててほしい?」

女「は、はい。お願いです……」

自称「そうか。でももちろん、タダっていうわけにはいかない……よな?(暗黒微笑)」

女「わかってます。何でもしますから……」



自称「ふーん。だったらお前……俺の女になれよ(壁ドン)」







(・-・)






(・-・)これ何が面白いんだろう……






なんか自分で書いといて、脚本・演出:勘違い自称ドS男のつまらん芝居に無理やり付き合わされた気分です。
こういう男が少女漫画の中で「今日からお前は俺のペットだ」とかいう薄ら寒い台詞を吐いちゃうんですよ。こんなこと現実世界で言われたら訴訟ものです。男が先輩ならセクハラモラハラパワハラの全てに該当しそうです。

恐ろしいのは、現実の男性でも似たような思考回路を持つ人がいるってことです。「俺Sだから」とか言っちゃうタイプ。
いやサドを自称するだけなら別にいいんですけど「(俺Sだから)命令とかするけど、(俺Sだから、Sのプライドが許さないから)従えよ」って無言の圧力掛けながら脅し(っぽいこと)をされると正直扱いに困ります。こういう人ほどメンタル弱いですし。従わなかったとき面倒くさいし。かといって従ったらつけ上がるし。もう。


声を大にして言いたい。
本当にSなら有無を言わせず相手に従わせてみせろ。


(`・ω・´){俺のペットになれよ(オレカッコイイ‼︎
(´・ω・`*){はい!ペットです!わんわん


なんて言ってても、相手に


(´・ω・`)。。(俺のペットになれよ、なんてノリノリで言っといて断られるとかダサすぎるよね……

(´・ω・`)。。(それに「嫌です」とか言ったら逆ギレされそう……面倒くさい感じに拗ねられそう……

(´・ω・`)。。(……一応言うこときいといた方がいいのかな……なんか可哀想だし……


このように気を遣わせている場合がひっじょおおおおおに多いです。これでは半人前どころかトーシローです。あの本当、止めてください。お願いします。
※少女漫画のヒーローがこれで許されてるのは、ヒロインが彼のそういうところに好意を持っているからです。あと読者のニーズです






脱線しました。私は自称Sさんに説教したいわけではないんです。

相手に気を遣わせるトーシローとは違い、本気で「従わなきゃヤバい」と思わせてくれて且つ普段は心から尊敬できる男性(以下「プロ」と呼びます)の場合を紹介します。
実況付きで。



プロ「せっかくだから、みんなに教えてあげてもいい?」

女「駄目です」

プロ「えー。別によくない?」

女「絶対に黙っててください」

プロ「いや面白いし、みんなも受け入れてくれると思うけどな」

女「私が嫌です。本当にお願いなんで秘密にしてください」




プロはこの辺りで女がわりと本気で嫌がっていることに気づきます
それと同時に、この女のどうしようもない性癖?にも多分気づいています。「ブログの正体をバラされるのは嫌なんだろうけど、他人に無理やり嫌なことをされるっていう状況自体はキライじゃないんだろうな〜」みたいな。




プロ「じゃあみんなに黙ってる代わり、何か奢ってよ。今日の晩飯とか」

女「嫌ですよ。なんでそんなことしないといけないんですか」

プロ「じゃ、言うよ?

女「だから、いくら黙っててもらうからって、晩ご飯なんて奢る義理ないです」




現時点、女はプロを舐めてます。(どうせバラして嫌われる勇気なんてない、自称S男なんでしょ。知ってる)とか思っていますね。あらあら。晩ご飯さえ奢っておけば、恐らくプロは黙ってくれていたはずなのに。
この辺りでプロに動きが出てきます。




プロ(ケータイを弄る

女「……? メールですか?」

プロ「うん、◎◎に送っといたから。ブログのURLと管理人の本名」

女「えっ」

プロ「まああいつなら引かないでしょ」

女(唖然とする)

プロ「だって夕飯奢ってくれないって言うから」

女「い、いやいや……だからって本当にバラしますか?」

プロ「俺ちゃんと言ったよね。黙ってる代わりに晩飯奢ってって。じゃなきゃ言うよ? って」

女「……」

プロ「じゃあバラしてもいいって思うじゃん」



ポイントは3つ。
  • プロの求める見返りが小さいこと
  • 前もって「見返りを貰えなければ要求は無視する」とはっきり宣言しておくこと
  • 一度目の要求無視のときは、相手にとっての被害が少なくなるようにすること
自称Sの見返りが「俺の女になれよ」だったのに対し、プロの見返りは「晩ご飯奢って」。圧倒的にプロの見返りの方が小さいです。
宣言は自称Sも一応やってますが、プロに比べるとわかりにくい。
自称Sは「きっと変態って罵られて、友達からも避けられることになるだろうな〜」と発言していることからもわかるように、バラした際の被害の大きさを初めから強調しています。対してプロは、恐らく女のブログに引かないであろう友人を選んでバラしているわけです。一度目は。

プロは本気でバラすつもりらしい。それがわかったこの辺から、女の様子がおかしくなります。私だったら(この人になら全てを支配されてもいい)って思い始めているところです。




女「……ごめんなさい。晩ご飯奢るんで、これ以上はバラさないでくだ……」

プロ「あ、もういいよ。なんか意外とお腹すいてないし」

女「え、でも……」

プロ「喉乾いたなー。炭酸飲みたい」

女「……」




女は自販機に向かって駆けていきました。



プロ「ありがと。じゃ、△△には黙っとくな」

女「ありがとうございます(ほっ」

プロ「××(スピーカー=バレたらまずい相手)に言ったら面白そう」

女「!?」

プロ「なんて送ろうかな」

女「や、やっぱり晩ご飯奢りますよ?」

プロ「いや、それはもういいから

女「……じゃあ、どうしたら

プロ「そういえばさ、お前と長話してたせいでもう終電ないんだよね」

女「え?」

プロ「下宿だよね? 泊めてよ

女「……」

プロ「駄目なの?

女「……わかりました」




おかしいですね。
初めは「晩ご飯」という小さな代償で「全ての人に黙っている」という大きな見返りを貰える約束のはずでした。
ところがいつの間にか、「家に泊める」という大きな代償で「××にだけは黙っている」という小さな見返りを貰う約束にすり替わっています

プロは計算でやっています。が、恐らく女は気づいていません。




さて、もう一度言います。声を大にして言います。

本当にSなら有無を言わせず相手に従わせてみせろ。


以上、自分で書いておきながら上の文章のシチュエーションにドキドキしている鈴本でした。きゃー。

自分のことを理解してほしい病。

f:id:arkyork:20160901022650j:plain 

自分は場の空気を悪くしてはいけないんだ、という強迫観念のようなものがあるのだと思います。

だから、シリアスな話をしているときでもその空気に耐えきれず、自らおどけて誤魔化してしまいます。相手が反応に困らないような立ち振る舞いを意識してしまうんです。

 

こんな性格なので人に相談をすること自体、苦手です。「悩みを聞いてもらうだけで少しは気が楽になるだろう」っていう俗説は、私の場合は当てはまらないと思います。
まず、前述したように、相談をしている私が相手に気を遣ってしまいます。また、相談したとしても、大抵の人は浅い答えを返してくると感じます。
私は普段から考え込んでしまう人間なので、自分がすでに思いついたことがあるような知見を答えとして返されることが多いのです。更に、一応相談に乗ってもらった身ですからどんなに身にならない回答が返ってきても相手に感謝しなければいけません。
だから、相談は苦手なのです。
 
また、自分は他人に理解してもらえない、という思い込みがあります。
実際、自分の嘘偽りない考えを言ったときに限って、よくわからないといった反応をされます。昔から変わった子だと言われますし、本当に少し変わったところのある人間なんだと思います。
たとえば、恋人には精神的に自分を支配してほしいという願望があります。自分のことを何でも理解してくれて、自分が喜ぶ言葉も傷つく言葉も大体わかっていて、それらを巧みに使うことで私の心を本当に支配してしまう。そんな恋人に愛されたいのです。
「優しくて、気遣いができて、浮気もしないし嫉妬もしない、でも自分のことだけ考えてくれて……」なんて、そんな人間が自分のことを好きだと言ったとしても、下心を疑ってしまうのです。
これはおそらく、一般的な考えではないと思います。歪んでいると言われてもおかしくはないでしょう。正直、自分でも仄暗い考えだと思います。ですが、それもまた自分の個性であり、受け入れられてもいい嗜好だとも思うのです。
ですが、周りの人の反応はそうはいきません。「DVがいいの?」と言われました。何も理解されてないな、と少し悲しくなりました。「やめておいた方がいいよ」とも言われました。そう主張するのであれば、私の価値観を根本からひっくり返すような、何か力強い言葉も添えてほしかったです。
 
思い出すと辛くなりました。
私は人とは少し違った考えをする人間なのだということを否が応でも意識してしまうからです。
どうしても、疎外感寂しさを抱いてしまいます。
 
確かに私は、普段から人の幸せな話を聞くのが好きで、相談とあらば雑にも、真剣にも答えられます。悪口以外であれば、相手の聞いてほしい話を嫌な顔せずに聞くのは得意です。それが長所だとも言われます。
でも、私の話は誰も聞いてくれない。理解してくれない。理解しようともしてくれない。
きっと聞く価値もない、くだらない話なんだ。いっそ私自身が、取るに足らないどうでもいい人間なんだ。
そんな思いが消えません。私は場の空気を乱しても許されるほどの人間ではないのだ、と思うと虚しい気持ちでいっぱいです。
 
周りが私に求めているのは、陽の部分だけで、陰の部分は別段必要でもないのかなと思います。
普通の人間であれば、陰の部分を見せてくれるのは仲が良い証拠だといって、有り難がられたりもするのですがね。私の場合は、そうはいかないみたいです。

対面人狼会でラストゲームだけ悲しい結果になるレポ

f:id:arkyork:20151223064919j:image



最近、人狼ゲームにハマっています。
「スズキ」という名前で色々な対面人狼イベントに参加させていただいております。

で、なんだか毎回「この恨み、次回の人狼会で晴らさでおくべきか……」みたいな心境で帰っている気がしてならない。
思い返してみると、各会のラストゲームだけ悲しいオチに終わっていることが発覚。



11/29 人狼
私→狐

最終日4人残り。
「あなたを吊ります」と言われて、咄嗟に止めてくださいと反論できなかったことが原因で吊られる。
吊られた後、くっそおおおおって言いながら椅子ガタガタ揺らしてました。



12/20 超高校級の人狼
私→超高校級の絶望(単独陣営。勝利条件:自分が吊られること)

1日目に噛まれて死亡。グレーなのに。
GM「助かるアイテムはありますか?」
私「……ないです……(O_O)」
周りの方「本当に死にそう……」
せめて0日目の甘噛みだったらよかったのに。

ゲーム終了後
私「なんで私を噛んだんですか?」
クロ「……なんとなく?」

クロのセンサーパネェです。
占い師引くたび白圧殺になる私とは大違い



12/22-23 オールナイト人狼
私→占い師

初日占い師3CO。
狂人が対抗に白出し&私を怪しむ発言をした結果、何故か私に票が集まり、村柱&グレー&私の決選投票にまで持ち込まれる。
私「初日占い師吊りってどういうこと(混乱)狐溶かすんでお願いします」
グレーの方は役持ちCO。
結果、村柱の方が吊られる。

2日目夜に狐狙いで、役持ちCOしたグレーの方を占う。結果白。

3日目昼
GMスズキさんと(↑の方)さんの死体が発見されました
私「(息を飲む音)」

その後占いロラのタイミングを失い、人狼勝ち。

ゲーム終了後
狼1「呪殺マジで助かりました。ありがとうございます」
狼2「第二の狼陣営」
私「」

占い師としては正しいことをしたはずなのに謎の敗北感。信用とれない遺言呪殺なんてするもんじゃないですね。



王国ゲェム【ヤンデレビュー】

王国ゲェム(1)<王国ゲェム> (電撃コミックスNEXT)

王国ゲェム(1)<王国ゲェム> (電撃コミックスNEXT)




※1巻のネタバレが含まれています。



この本を買った理由は他でもありません。『危ノーマル系女子』に引き続き、表紙の女の子がヤンデレにしか見えなかったからです。
本屋で見かけた表紙に惹かれ、見本誌を立ち読みして、表紙の女の子がヤンデレであることを確信した後に買いました。



表紙の女の子=槙原紗香ちゃんは、成績優秀、容姿端麗な高嶺の花系ガールです。前回の『危ノーマル系女子』に引き続き、ヤンデレのテンプレを地でいくような素晴らしきかな女の子。



さて。
『王国ゲェム』というタイトルからも察しがつくように、主人公達が謎のゲームに参加させられるお話です。
高校生7人が巻き込まれたのは、支配と服従のデスゲーム
という帯のコピーからもわかるように、王様ゲームの命賭けたバージョンみたいなものですね。

あらすじ。主人公と紗香ちゃんを含む7人のクラスメイトが、ある日突然、「王国ゲーム」というゲームに巻き込まれてしまいます。ルールはこんな感じ。

晩0時に「王様(×1)」「貴族(×2)」「平民(×4)」が決定され、王様は貴族と平民に、貴族は平民に命令をすることができる(しなくてもいい)。命令された側は、命令する側の視界の範囲内にいる限り、不思議な力によって強制的に従わされる。
王様・貴族・平民が協力して一つの王国を為し、「領土」が一定以上になった王国には「神の手」という奇跡が与えられる。

ではこの「領土」「神の手」って何かというと……まだよくわかりません。続きに期待ですね。
とにかく、みんなで協力して自分の王国の領土を増やして奇跡を手に入れましょうって趣旨のゲームみたいです。王国は複数あって、2巻では他の王国とのバトルも展開されるらしいです。



とまあこんな感じなのですが、小難しいことは置いといて私が強調したいのは、

王様は貴族と平民に、貴族は平民に命令をすることができる。

という点、ただ一つです。


さてここで問題。
絶対服従の命令×ヤンデレ=???


……なんとなく展開を察していただけたでしょうか?

そうです。ゲーム開始二日目に女王となった紗香ちゃんが主人公に
「私のこと愛してるって言って!」
と命令するのです!!!



「私のこと愛してるって言って!」
と命令するのです!!!!!



絶対服従の命令×ヤンデレ。最っ高に萌えるじゃないですか。もうこの二つを組み合わせて物語を作ったという点だけで満点百点花丸パーフェクトを差し上げたいぐらいです。

だがしかし!!!紗香ちゃんの恋心は止まらないどころか危ない方向に加速します。

1.主人公に「私を愛して」って命令しちゃう。(でも人の心を動かす命令はできないルールだったようなのでがっかり)
2.なら体だけでもってことで主人公に「私を犯して(ハート)」的な命令をしちゃう
3.ゲームの参加者の一人である女の子がやってきても御構い無しにコトを進めようとしちゃう
4.主人公に「人にされたくないことはするな!」と言われ、(確かに他の参加者の男子に命令されて犯されるのも、主人公くんが他の女子にそういうコトさせられるのも嫌だな〜)ってことで、
私が女王になる前にみーんな殺しちゃえばいいんだ☆これで私と主人公くんだけの王国♪るんるん♪
的な思考に至っちゃう



ちょっとびっくりな展開ですね。メンヘラではなくヤンデレクラスタを自称する私としては首を傾げてしまいます。

 「みんなを殺して私と主人公くんだけの王国を作るの!」という思考は堪らなくドストライクで大好きなのですが、大事なのはその台詞単体ではなく、そこに至るまでのシチュエーションだと思うのです。
そのシチュエーションが、ヤンデレとしてはやや不十分だと感じました。
……ヤンデレとしては。

(別にこの子がヤンデレキャラとして動かされていないのであればこの項目どころか記事ごと無駄になっちゃう気がしますので、今回は紗香ちゃんがヤンデレという前提で話を進めます)


さて。彼女の思考だと、
・主人公くんが他の女とセックスするぐらいならそいつらを殺す
私が他の男とセックスするぐらいならそいつらを殺す

となりますよね。前者はわかりますが、後者は「ん?」って感じです。

主人公が言っている通り、人にされて嫌なことは自分もするべきではありません。人を呪わば穴二つ。人に嫌なことをするときは、自分も同じことをされる覚悟を持ってするべきです。でなければただの自己中です。

確かにヤンデレって自己中で独りよがりな面もありますが、それらの面は意中の人への愛という形で発露されるものです。

「好意に気付いてほしいから毎日100回電話しちゃう」
「他の女といるんじゃないかって心配だから毎日後をつけちゃう」
「好きな人の全てを知りたいから彼の自室に監視カメラを仕掛けて四六時中監視しちゃう」

行動だけ見ると本当にはた迷惑な行為なのですが、それらは全て愛する彼を想うが故なのです。だからこそヤンデレはただの自己中ではなく、可愛い萌え要素となり得るのです。


ということで、
「主人公くんが他の女とセックスするのが嫌だから、そうなる前に女を皆殺しにする」
っていうのはまだわかります。意中の人が他の女に寝取られるというのはヤンデレでなくても耐え難いことでしょう。ですので、そうなる前に他の女を殺す、という論理は理解できます。

ですが、
「私が他の男とセックスするのが嫌だから、そうなる前に男を皆殺しにする」
っていうのはわかりません。これは意中の人関係なく自分のための行動ですよね。それも、夜道でいきなり複数人の男に囲まれて今にも服を脱がされそうになったので持っていたナイフで皆殺しにした、というような正当防衛ではありません。
むしろ「私は主人公くんをレイプするけど、他の人間が私をレイプすることは許さない。だから男は全員殺す」という、かなり無茶な主張をしているわけです。

しかもまだ犯されていないどころか強姦未遂すらなく、彼らにその気があるかもわからない段階でこれはちょっと、他の男子が可哀想です。女子も然り。


こういう点を鑑みると、ヤンデレ的な萌えからは外れてるかなーって思いました。典型的なヤンデレを目指しているであろうキャラなだけに、ちょっと残念です。
あとこれはかなり個人的な意見ですが、ヤンデレなら「私の体が汚される危険があるので殺す」ではなく「体は汚れてしまったけれど、心はいつも主人公くんのものだよ(ハート)」ぐらい言ってほしいものです。
「みんなを殺して私と主人公くんだけの王国を作るの!」なんて素敵な台詞を言っちゃう系女子なのですから、もっと正統派なヤンデレでいてほしかったですね。



更に、この作品で残念な点がもう一つあります。
これはかなり大きなネタバレになるので、これから読もうと思っている方は注意してください。




















いいですか?
心の準備は大丈夫ですか?















なんで紗香ちゃん死んじゃうの(´;ω;`)?



王国ゲームにはもうひとつのルールがあり、平民達はそれを使って、女王となった紗香ちゃんを王の座から追放しました。
その結果、革命によって王が処刑されるように、紗香ちゃんは帰らぬ人となってしまったのです。


ストーリーとしては全く無理がなく、ご都合主義だとも感じませんでした。
しかし、しかしです。
この展開はちょっと、いや大分まずいんじゃないかって思いました。
唐突すぎて、これって本当に初めから作者がやりたかった展開なのかな?とすら疑ってしまいます。


というのも、紗香ちゃんは表紙を飾っています。表紙ですよ?普通マンガの1巻の表紙にいる女の子って、ヒロインじゃないですか。ヒロイン。そのマンガの看板娘。もちろん例外もありますが、少なくとも読者は表紙の女の子がヒロインであることを期待します。
物語におけるヒロインの一番の役割ってなんだと思いますか?ほとんどの場合、主人公と恋愛関係を育むことです。マンガやラノベだと特にこの傾向は強いです。

表紙の女の子がヤンデレっぽいってだけで「あ、ヤンデレなヒロインだ!これはきっとヤンデレなヒロインが平凡な主人公と愛を育むお話だな!買った!」となる読者が事実ここにいるぐらいです。


ヒロインだと期待された女の子が、1巻で死ぬ。
これがどういった意味を持つのか、関係者の方々には深く考えてほしかったなと思います。


熟考された上での判断だというのならきっと何かしらの意味があるのでしょう。しかしどうも、私にはそうは思えません。
初めはメインヒロインになる予定だった紗香ちゃんが、途中で降ろされたという印象を受けました。以下に理由を述べます。

第一に、前述した通り、紗香ちゃんが表紙を飾っています。1巻が全て描き終わる前に表紙イラストだけは出来ていた……とも考えられます。

次に、1話とそれ以外での紗香ちゃんの扱いが変わっています。1話の冒頭では紗香ちゃんが物語全体の導入を担当しています。また主人公が紗香ちゃんに言い寄られるとき、頬を赤くするなど、彼は満更でもない態度をとっています(私にはそう見えました)。
しかし1話以外では、むしろ紗香ちゃんの好意が迷惑なのだとする場面が増えてきます。紗香ちゃんが死んでしまったあとに、主人公が「実は彼女のことは苦手だった」と皆に告白するシーンもありました。

これらは、当初は紗香ちゃんが物語のヒロインになる予定だったけれど途中で変更された、という可能性があることを示唆しています。


この仮説が正しいとしたら、何故紗香ちゃんはヒロインから降ろされたのでしょうか。
理由は恐らく、ヤンデレという素材の扱いにくさにあるかと思います。

School Daysヤンデレな妹に愛されすぎて眠れないCD、ヤンデレ系のスマホアプリなどの展開を見ればわかるように、ヤンデレをメインに据えた物語は、大抵バッドエンドで終わります。
そうでなくとも、ヤンデレやそのお相手にとってはハッピーエンドでも、他人から見たら「それって本当に幸せなの?」と言いたくなるような展開が多いものです。「二人だけの世界で永遠に生きる」とか。「心中してあの世で永遠に一緒」とか。所謂メリーバッドエンドですね。

バッドエンドというのは扱いが難しくて、上手く決まれば読者の心に深く残る傑作となるのですが(ロミオとジュリエット舞姫など)失敗したら後味が悪いだけで終わります。
ヤンデレをヒロインにするだけで普通のハッピーエンドを迎えることが難しくなるという都合上、そうならなかった場合、作者は上手いバッドエンドを描くことを求められます
これが、ヤンデレが扱いにくい理由の一つ目です。

二つ目は、ストーリーのコントロールが難しくなることです。ヤンデレをメインヒロインにした場合、ストーリー展開がヤンデレの異常性に大きく引っ張られます

例を挙げます。本作がデスゲームを主軸にした作品なので、同じく極限状態の「無人島」に7人で流された話だとします。
もしメインヒロインが心優しい普通の女の子だとしたら、猛獣に襲われそうになるヒロインを主人公が助けたり、仲間が分裂しそうになるのをヒロインが仲裁したり、6人までしか乗れないイカダで主人公とヒロインのどちらかが島に残る選択をしたり……といったイベントが考えられます。王道かつドラマチックな展開を考えるのが容易ですね。
しかし、メインヒロインがヤンデレだった場合。ヤンデレというのは基本的に、自分の信念に従って自主的に行動します。猛獣に襲われそうになった主人公を逆に助けることもあれば、仲間が分裂しそうになっても主人公に被害がない限り無関心を貫くでしょう。最後に主人公かヒロインが島に残らなければならないとなれば、迷うことなく二人で心中するはずです。
迷いがないということは、葛藤がないということに繋がります。葛藤がないということは、物語の山を作りにくいということに繋がります。

よって、ドラマチックな展開を作りたいのであれば、主人公達が置かれた状況からイベントを考えるというのではなく、ヤンデレの性質に基づいてイベントを考える方が楽です。お腹が空いた主人公のためにヤンデレが仲間の一人を殺そうとするなど。

これが、ストーリーがヤンデレに引っ張られるという状況です。
言い換えると、ストーリーが常にヤンデレを中心に動くことになるのです。しかし同じ人間が同じ状況下で起こす行動のパターンは限られてきます。なので、物語が続くにつれて似たようなイベントが何度も起こるという自体になりやすい。だからヤンデレは扱いにくいのです。


メインヒロインをヤンデレにしたはいいものの、良いエンドが思いつかない。
それどころか、今後のストーリーが思いつかない。単調になりそうだ。
これからもずっとこのヤンデレを中心にした話を描いていくのは厳しそうだ。しかしヤンデレが主人公に執着するあまり仲間を皆殺しにしようとする、という展開は面白そう。ならばどうするべきか。
そうだ、殺してしまえば……



このような考えがあったのではないかと推測します。

我ながら引くほど深読みしてしまいましたが、直感的に「ヤンデレメインで描くのがめんどくさくなったのかな」と思ってしまいました。
(過去に何度もヤンデレをヒロインにした物語を書こうとして構想時点で挫折している身なので……今の私には童話の二次創作が精一杯です)



殺すという形で紗香ちゃんをメインヒロインから降ろしたのは、今後の展開を考えれば正解だったのかもしれません。
ですが、表紙と冒頭でヤンデレヒロインを期待していた読者にとっては、極端に言えば裏切りに近いと感じました。

どこかで聞いた言葉です。
読者の予想は裏切っても、期待は裏切るな
一度ヤンデレヒロインでいこうと決めたのであれば、最終巻までそれを貫き通してほしかったというのが本音です。


紗香ちゃんがいなくなってしまった今、2巻を買うかはわかりません。
ですが今後、彼女が霊的な(神的な)存在になって主人公達の前に現れるという展開があるかもしれないので、チェックはしておきたいところです。